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枕カバーと布団カバーは洗っておいたが不覚のベッド。開腹手術後はマットの硬さが重要だった件。

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 自分の匂いが染みついたベッドで、好みの高さの枕で、良い感じの柔らかさのおふとんをまとって寝られるー!わーい!と思っていたのだけれどね。9日間の修行ともいえる入院生活から解放されて帰宅したその時。日々の食事に憂い、同室の人に笑いながら、そして泣きながら頑張って養生に明け暮れた9日間を終えた私。やっと大好きな自分のおふとんでゴロゴロする日に辿り着いた。 荷物をバラして簡易的に片づけ、飼っている犬のご機嫌を取り、昼食を済ませて「さてひとやすみ」と久々自分のベッドにゴロンと横になってみる。そうそうこの香りと肌触り。なんかやっと帰って来たって感じがするー♡と浮かれていた気分が一瞬にしてダークになった。 やばい・・・ 私のベッドには病院のベッドとは違い、起き上がる時の補助をしてくれる柵がない。ボタンひとつでビヨーンだのウイーンだの自由自在に動いてくれる電動式のベッドでもない。当然だけどナースコールも付いてない。そして切られた腹筋は未だ行方知れず・・・。 無理 起き上がり方がわからない・・・ ベッドになだれ込むのは簡単だった。だがしかし。介助ツールがないと、起き上がることがこんなに複雑極まりない動作になるという事をこのタイミングで知らされるなんて。ベッドに柵がないと、腹筋ビーッと15㎝切られてしまった身体には、ベッドから起き上がるという動作がアクロバティック級の所業になる。(私の場合だけかもしれない) あーやってこーやってこっちをこうして・・と、何者の助けも借りずにお腹に負荷をかけない起き上がり方法を探して身体に覚えこませた。 完全体になったから退院できたわけではないのね。当たり前ですが。病院で守られてたから、入院生活後半元気っぽい感じで過ごせていたまでで。「できれば1か月近くは安静に・・」の言葉の意味が脳内に響き渡った。身体の中心を切られるという事は、複雑な手術じゃなくても12時間かかってしまうような大手術でなくても削がれてしまう。体力も気力も考えるチカラも。病院からひとりで荷物抱えて帰ってきた事に「やるじゃんすげぇじゃん」と錯覚して、家に帰り着けば実はそこそこ元通りで暮らせるとなぜか思ってしまった。 そんなおばかさんな私がベッドからの起き上がり技術をマスターしようと頑張っているところへ犬が飛んできた。私が遊んでいると思ったらしい。飼い主がウンウンと唸りながら頑張っているその

退院(早く帰りたいようなまだ入院していたいような複雑な胸中でお会計)

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2020年4月 子宮筋腫を摘出すべく わが街の昭和の香り漂う老舗病院で 9日間の入院生活を送った 初めての全身麻酔 始めての開腹手術 初めての臓器摘出 初めてのウイルス 初めてづくしで始まった50代  いい天気です。退院の日が雨でなくてよかった。 生まれて初めて魚を生臭いと感じた朝 前日に お局様 センパイ看護師が新人看護師を連れ立って「お見積書(入院費用の)」「退院したらやっていい事・ダメな事」「術後回復体操のやり方」などの紙を数枚持ってきた。儀式なんだろうね・・・これよく読んでおいてください程度でいいのに。「術後回復体操のやり方」は見ながらやってくださいねとサラッと渡されたのに、なぜだか「退院したらやっていい事・ダメな事」は新人看護師による朗読会が始まった。 まだ明らかに初々しさの残るその説明に、私のココロはヒリヒリした。他人さまの夜の営みに制限かける文言を口にするのは、あなたの年齢とキャリアではまだ辛いでしょう。修学旅行先の部屋で、もしくはカラオケボックスの一室で、友達とキャーキャーとハートをまき散らしながら話す「〇〇クンとのチュー」話と、自分の母親とさほど変わらない年齢のオンナに向かって「パートナーと交わるのは〇か月を過ぎてからにして下さい」ではカテゴリが同じ話でも訳が違いすぎる。 それを嬉しそうに眺めている お局様 センパイ看護師。あなたもあと少ししたら彼女のように立派になれるんだよ・・と胸の中で思い、うんうんと頷きながら聞いてあげた。たぶん自分がキャリアアップした時は「絶対に後輩にはこんなことするもんか!」と思っているかもしれないが、残念ながら結構やるの。センパイと同じことをね。人間はそういう生き物です。彼女はあなたの未来です。 朝ごはんが終ったら自分のタイミングで帰っていいとの事だったので、バカバカっと食べて、シャカシャカっと歯を磨いて、ちゃっちゃとパジャマを脱ぎ捨てた。パジャマ生活って楽だったなー。さすがに家に帰ったらひたすらパジャマってわけにもいかないから、そこだけ退院に未練ですね。 請求書お持ちしましたーと、なじみの看護師さんが来てくれた。「手術後ほんっっと辛そうだったけど、元気になりましたねー!よかった♪」と言われた。そんなに辛そうだった?と聞くと「ひどかったですよ、顔つき。ヤバかったですもん」と言い返された。ベテラン看護師が患者をヤバいという

退院前日(開腹手術から6日後で患者でいられた最後の日のこと)

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2020年4月の9日間 孤独の手術を体験し ラスト1日になった入院生活は 子宮・卵巣・子宮筋腫を取り除き リニューアルした 私の身体の最終チェックは 朝6:30の採血で始まる 生まれて初めてじゃなかろうか 朝の6:30に血を採られるなどどいう事 筋腫取ったからきっと貧血とはおさらばしてるはず。術後フォローの鉄剤も飲んだ。鉄入りジョアも数日間とはいえ毎日飲んだ。お昼からの診察で褒めちぎられたい。血も腹の中もすべてにおいて。まさかこの期に及んで「あと入院2日追加で」などと言われたらどうしよう。昨日の院内放送でお腹に変な力が加わっていたらどうしよう。 冷や奴に大豆の煮物で朝から大豆祭り 採血の時に「ちょっとお腹見せてー」と看護師さんに言われる。ベッドに腰かけた状態だったので「横になったほーがいーですかー?」と聞いたところ、「あ、座ったまんまでいーですよー」と返ってきたので「はーい♪」とお腹を見せてあげた。 キズ全体を見せなければ・・と、何もためらうことなくパジャマのズボンとパンツ(下着)を一緒に"パカッ"と広げてお腹を見せた。パジャマのズボンとパンツ(下着)を親指に引っ掛けてパカッと。キズの先にある、私の秘めた部分まで丸見えになるくらいに広げた。羞恥心も摘出されてる。可愛らしさもそぎ落とされた。パンツ(下着)だってGUNZE。開腹手術のキズ跡も私も、フリフリよりピラピラより綿100%の安定と優しさを選んでしまう。そして仲の良い友と温泉旅行に行くのはためらうくせに、医療従事者とはいえ年下のオンナにパンツ(下着)の中身を全力で見せつけられる勇気を入院生活で養った。 人間は成長する生き物 隣に座って私のお腹のキズをのぞき込む看護師さん。その彼女に屈託なく「順調って思って大丈夫ですかねー?」と尋ねる私。聴診器で腸の音の確認とキズ周りの腹の肉の弾力具合を触診しながらウンウンと深くうなずいてくれた。この看護師さんとはこの時間でお別れの儀式をおこなった。明日私が退院する時間帯はシフトの都合により立ち会えないとの事。よかったですね。頑張りましたねと言ってくれた。この人とは殆ど喋ることがなかった。この人は患者との距離を作り(いい意味で)やるべきことをキッチリこなして風のように去っていく人だった。 そんな彼女から「でも無理したらダメですよ。ぼちぼちです。ぼちぼちと一日一日

入院生活5日目の午後は抱腹絶倒を少し

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手術して5日が経過した朝。新入り30代は手術へ向かった。「今日はkeme.さんひとりですよー♪」と新米ナースが教えてくれた。入院前日の確認電話で「延期してもいいですよ、新型コロナが心配であれば。実際それが理由で延期してる人もいます」と言っていた。入院当日、病棟の設備やトイレの場所などを案内してくれた看護師さんは「満床の時のほうが多いんですけどね、ホントは・・」と小さな声で教えてくれた。新型コロナの影響で・・・というダイレクトな言い方は、多分不安を煽る事だと考えて声のトーンだったり空気感だったりで伝えてくれたと思うのだけど、医療事務の人はダイレクトに言いましたよ。新型コロナを理由に入院延期した人がいるという事を・・。 不要不急というワードが報道媒体で連呼されていたタイミングで手術をする事。私の子宮筋腫は不要不急の手術じゃないのか?と、少しだけためらった。それと、未知の領域新型コロナの恐怖下で「たった9日間といえども入院&手術をするなんてどうよ?」とビビってもいた。ただ先が予測できないタイミングだったので、病院サイドが「頑張ります!」と受けてくれるのなら、このまま予定通りに決行したほうが良いなと腹をくくり、感染症指定医療機関だった老舗病院へ飛び込んだ。 延期しなくてよかったとしみじみ思う2020年12月。 朝から鶏肉は辛い 入院する前にたくさんの子宮筋腫センパイ方のブログを読み漁った。私が目にしたブログには結構な確率で「病院のごはんが美味しくて♡」と書かれてあったので、同じ病院に入院するわけではないと承知していても「病院のごはんが美味しいなら♡」と、入院生活に若干期待していた。「腹を切って動けなくなったらきっと楽しみはご飯しかないよね!」とウキウキし、「頑張って食べて体力つけなきゃ!」と張り切って完食する意気込みで取り組むはずだった三度の飯が、なぜだか子宮筋腫センパイ方のブログと違い、高野山の修行レベルに近い感じがしてならなかった。 入院は温泉旅行でも観光旅行でもない。食事に関しては栄養価とカロリー重視で作られている。思い出作りのための食事じゃない。栄養と体力をつけて病んだ身体を立て直すためのもので、好きなものだけを食べればいいというものでもない。自分都合でパン食べたいとか思ってはダメ。そんなにパンを食べたければ、退院してから美味しいと評判の隣町のパン屋さんに行けばいい

VIP用トイレのこと

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 私のベッドから共同トイレまで往復150歩程度の距離。開腹手術後のリハビリウォークにとりあえずちょうどいい歩数。ただね、いま令和なんですよ・・・。わりと「室内共同」になってないですかね?トイレ。まあトイレが病室内に設置されてないお陰で、ひとりに割り当てられてる病室の区画は広かったんですけどね。 それでもそのお陰で毎日歩くという術後最大のミッションを怠ることなく遂行できたので、病室外の共同トイレには感謝しておりますが、ただこの病院。昭和50年代のドラマのロケ地にもってこいの風情だ。昭和の医療ドラマを撮りたいと思っている業界の方に推薦したいくらいの佇まい。(ただし1Fのセブンイレブンを除く)ベッドなどの備品からはかろうじて平成のにおいを嗅ぎ取れたけど、未だこの状態を死守しているのもすごいなと思った。風で流れてきた話を盗み聞きしたら、どうも病棟以外の改装に大金をつぎ込んでしまったらしい。 私と同じで、すごい昭和臭を感じ取った、 壮大なスケールで寝息を吐き出す30代 が看護師さんに聞いていた「何でこんなに古くさいんですか?」と。聞く感じでは100%悪気ゼロなんだけど、質問する言葉の選び方は他に50通りくらいあるような気がするが。なぜ一番言ってはいけない表現で質問した・・・。 重要なところにだけお金がいっちゃってー・・・と看護師さん。私にはその言葉が「最先端の医療機器を購入した」と言っているようには聞き取れず「院内売店をセブンイレブンに変えた」という意味にしか聞こえなかった。私としては食事のテコ入れを是非・・と願うところだけど、もし何かあってまた入院する時は違う病院にすればいいだけの話なので、最先端の医療機器を増やしてもらった方がありがたい。今後どんどんと年を取るし、病院への頼り方も変わってくるし。 で、肝心のVIPのトイレですが・・。 私の隣の4人部屋には、私が退院するまでずっと同じメンツの4人が入院していた。遠くのトイレに行くすがらにチラッと見る限り、みなさん御年70後半と見えた。杖を突いて歩いていたり、歩く速度がとても低速だったりと、腹を切って腹筋が崩壊した私よりトイレに行くのが大変のように思えた。ああだからそういう事か。 杖を突いてトイレに向かう山田さん(仮名) 壁をつたってトイレに向かう田中さん(仮名) 膝が悪いと見受けられる歩き方の佐藤さん(仮名) 入れ歯入れの横

順調な腸の具合とうまく眠れなかった術後4日目

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入院生活4日目の話。ようやく半分消化。(入院生活を)すごく長い時間を過ごしたと感じていた日々だったけど、実際には9日間。病院にいる間の1日の具合といったらまあダラダラと長く感じて。そんなダラダラ感に浸っていてもテレビも読書も手を出す気になれず、ただただベッドに転がっていただけの毎日。音楽を聴く気にもなれなかったな。今思い出そうとしても記憶が見当たらない・・いったい私は毎日何して過ごしていたのだろう。 パンが食べたくて仕方なかった朝 私が入院する前から決定していた献立と思うけど、ピンポイントで私の腸のぜん動運動を手助けしたいと願う気持ちが溢れているオカズのおくら。でもなんだかザックリしてきた朝ごはん。(私見です) 色んな事から解放された私の身体は、ご飯食べてる最中から腸がグルグルと動き出し、まだご馳走さまする気ないのにトイレに駆け込みたい思いで頭がいっぱいになる。それは良い事なんだけど「食事の最中にトイレに行く行為はお行儀が悪いのよ」と釘を刺されながら育ってしまったので、誰と食事しているわけでもないのに「ちょっと失礼」とトイレにダッシュできない私がここにいる。なのでウワーッと食べてから向かいました。 縦にピーッと一直線に入った傷により、私の腹部から姿を消した筋力の具合と、明朗快活な腸とのバランスがマッチしないためにもがき苦しむトイレ時間。それでも薬の力を借りずになんとか用足しできるのは素晴らしい事。でも「出たいと願っている物体が出せない苦しみ」は、そんじょそこらの便秘より数段辛かった。 排出されたいとお腹の中で暴れまくっている輩って厄介・・。 お腹の中で暴れまくっている輩で傷が裂けたらどうしよう・・と看護師さんに不安を吐露したら「そんな事では裂けないから」と冷静かつ冷めた口調で答えられた。あわせて抜糸はいつになるんですか?と尋ねたら「溶ける糸で縫ってあるから抜糸はしないですよ。ふふふ♡」と、医療機器の進歩についていけてない50代に優しく説明してくれた。表面の傷口も溶ける糸で縫合しているらしい。昔々足に怪我をして数針縫い、その抜糸の時の何ともいえない感触を覚えており(小学生の時の怪我なのに)「あの糸を抜く際にゾワワワァとなる感じをもう一度味わえるんだわぁ♡」とマゾヒズム炸裂しながら、勝手に抜糸の日を待ち望んでいたのに・・・。ないんですって。残念。 写真右上が根菜です 根