4人目の入院患者と消灯時間ギリギリの咀嚼音

入院当日と4人部屋と割と放置な感じの時間とのつづき。



午後の放置プレイをまったり楽しんでいたら、手術を終えた4人目の患者がベッドで運ばれてきた。規定通り4人部屋は4人で使うのね。4人目さんは既に麻酔からしっかり覚醒して、看護師さんたちに「〇〇さんおかえりー♪」とか「無事終わってよかったですねー!」だの言われながら、身の回りを整えられていた(のをカーテンの隙間から見ていた)。御年・・・70代?このお方も全身麻酔で闘ってきたのだろうか。



ベッドメイキング的な処置が終わったら、周りを取り囲んでいた看護師さん達は勿論退散。よかったですねーと、もてはやされていた時間はあっという間に終わってしまう。静かな空間に戻っちゃった・・と思っていたら、水が飲みたいとか、お腹が空いたとか、念仏のように唱えだした70代?のマダム。だけどナースコールは押さない。そして誰もそばにいない。独り言のような念仏がだんだん叫び声に変わりだした。



ナースコール押せばいいのにー・・と思いながら聞いていたら、「あきこ(仮名)、あーきーこー(仮名)、あきちゃーん(仮名)・・・・・・・・・・・ようこぉぉぉ(仮名)!!!」と叫んだ。「親が苦しんでるのに来やしない」「実の娘なのに優しくない」と名前の後に続けて心の叫びをぶちまけていた。



もしかして、これが麻酔科の先生が言っていた"術後せん妄"か?とビビった。思いもよらない、そしてものすごい事を言ってのけるらしい術後せん妄。果たしてあきこ(仮名)とようこ(仮名)は本当にマダムの娘達なんだろうか・・・。



で、この「あきこ(仮名)、あーきーこー(仮名)、あきちゃーん(仮名)・・・・・・ようこぉぉぉ(仮名)!!!」が私の笑いのツボにぴったりハマってしまったもんで、しばらく息を殺して悶絶。もしもこの術後せん妄かもしれないマダムの叫びが、ワタクシの開腹手術のあとに繰り広げられてしまっていたら、絶対に私の腹は再縫合しなければならなくなるところだった。よかったー、手術前日で。



たまたま通りかかった看護師さんを捕まえて、呼べども呼べども母親の枕元に姿を現さないメイン付き添いあきこ(仮名)とサブのようこ(仮名)の居場所を聞いていた。ふたりは先生から手術の結果説明を受けている真っ最中で席を外していることが判明。あきこ(仮名)もようこ(仮名)も実在してました。という事は、術後せん妄ではなくなる「実の娘なのに優しくない」という叫び。本心・・・。



そんな70代?マダム。ようやくナースコールを押して看護師さんを呼び寄せて、「あんパンが食べたい」「このパジャマは借りてていいのか?」「病院のごはんは仕出しか?」と立て続けに看護師さんに迫るも、「糖尿病だからあんパンはだめです」「パジャマは借りてていいです」「ご飯は院内の調理室で作ってます」と、スパンスパンと端的に返され「用事がある時にまたコールしてください」と切り捨てられていたが・・・水は飲まなくてもよいのだろうか。のど乾いたと叫んでいたように聞こえたのは空耳か?



思い出し笑い体質の私は、この「あきこあきこようこ」の一件で夜ごはんの時間まで退屈せずに済んだ。



手術の準備の一環で、この日の夜ごはんを最後に絶食となる。頑張って食べようと思ったけど、白ごはん200gはさすがに無理。世間様ではお茶碗一杯分の基準が150~200gっぽいけれど・・・コンビニのおにぎりは1個100g程度だと聞いたことがあるけれど・・・ここの病院の量りはイカれてやしないか?と思えるくらいにてんこ盛られている気がする200g。食べなきゃと頑張ったけど白ごはんは半分くらい残してしまう。この食事以降、手術翌日の昼まで絶食なんだけど、白ごはん全部は手に負えない。




病院食
とりあえずまだ普通のごはん(味)だった



夜のごはんが終わると、あっという間に消灯時間が迫ってくる。さすがに明日手術ともなると結構な神経ピリピリ具合になっており、自力で目を閉じる事ができなさそうだし、動悸が出そうなゾワゾワッとした感じもする。なので看護師さんに泣き言を言ってみる。


眠剤が欲しいです

睡眠不足で手術したくないです


しぶしぶ薬を出してくれましたが、超絶軽めの奴だったのでウトウトするぐらいにしかならなかった。もしかしたらプラセボじゃないかと疑った。なんという薬かも忘れたけれど、かゆみ止めとか鼻炎の薬のほうがすこぶるマシだと思いました。



ふわぁ~っともなんともしないので、寝れるかなー・・・・と悶々としていたら、隣のベッドからガサガサゴソゴソとコンビニ袋の音がする。時計の針が消灯時間に迫りそうなこのタイミングで、ガサガサゴソゴソのコンビニ袋の音に続いて、スナック菓子を食べる音が・・・。



私の隣のこの人は、夜ごはん直後にもなにか食べていた。え?アナタまだ食べるんですか?とガリガリボリボリ食べる音を聞いていた。その咀嚼音。そしてスナック菓子の容器のカラカラと響く音の感じ。じゃがりこですよね?カルビーの・・・きっと。



カーテン越しに耳を澄ましているだけなので、お隣さんが食しているお菓子を目視確認することはできないけど、そのカラカラとカップ型の容器の中で転がる菓子の音と咀嚼音。違うと言われても、じゃがりこにしか思えない。間髪入れず、次から次へと軽快な咀嚼音を出しながら食べている。余裕だ。消灯時間までの数十分を無駄にしないよう、全力でじゃがりこに取り組んでいる。



そんな全力じゃがりこ咀嚼音が止まった・・・と思ったら、ゴクゴクと何かを一気飲みした。私は明日手術で睡眠導入剤も飲んだから、寝なくちゃいけないし眠たくなるはずなんだけど、これまた聞き覚えのある音が聞こえてきたもんで眠れない。



魅惑のグリコカフェオーレ・・。最後のほうで「ずずずーっ」ってなる飲み物。私も愛してやまないカフェオーレ・・・。やっぱり仕方なく出された睡眠導入剤はプラセボだとこの時思った。カフェオーレの音に勝てない睡眠導入剤なんてあるはずがない。



よく食べよく飲みよく喋る(スマホで)お隣のじゃがりこ彼女。飲食はスルー(じゃがりこ彼女は深夜0時以降が絶食タイムなので)されていたけど、スマホ使用はガッツリ看護師さんに怒られていた。日中の看護師さんとのやり取りを聞く限り、お隣のじゃがりこ彼女も明日手術と言っていた。どんな手術かわからないけど、そのメンタル羨ましい。おまけにスマホの着信音も自宅仕様。自由奔放にピコンパコンと鳴っていた。



他人さまと一緒に昼夜共にするのって難しいなと思いながら、少しウトウト。眠剤がほんの少ーしだけ力を貸してくれたけど、寝返りも咳払いもトイレに行くときも、完全自宅仕様のアクションでやってくれたお隣のじゃがりこ彼女と、ほかの部屋のナースコールのお陰で、起きていた時間のほうが圧倒的に長かった。



看護師さんから「眠剤効きました?」と確認されたけど「無理でした」と答えました。「(眠剤飲んでも)やっぱりどうしても手術前はですね・・・」と返されましたが、違います。眠れなかった原因はじゃがりこです。消灯時間ギリギリに聞かされる他人さまのじゃがりこ咀嚼音は、とても素敵な破壊力がみなぎっています。お隣のじゃがりこ彼女の空間だけ自宅でした。そこです。



まだ生まれたてのまんまの身体の状態で、いつできたかわからない大きな筋腫がなくなる前の日の話でございました。


ビッグイベントの前日ってこんなもの?


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