入院当日と4人部屋と割と放置な感じの時間と

2020年4月


いよいよです

人生初の全身麻酔

人生初の開腹手術

生まれ持った子宮と卵巣を

取り除く日が来てしまう

まさかそんな事になろうとは・・

(そうそう子宮体がんは異常なし)



昨日配車の手配をしていたタクシーが時間ぴったりに家の前へ。タクシーに乗り込むと同時に「窓開けてもいいですか?」と尋ねたら、「あ、暑かったですか?すみません」と返された。新型コロナです。このご時世なのでお互いの健康を思いあっての事です。窓を開けて換気しましょうとかいうエチケット。TVその他で見たり聞いたりしていませんか?朝の朝礼で言われませんでした?



家から病院へ続く道の途中にご先祖様が眠っているお墓があります。なので、心の中で「守ってくださいね」と気持ちを伝え、手を合わせて通り過ぎようと考えていたら、タクシーはお墓にたどり着く手前で頼んでもいない抜け道に入ってしまい、ご先祖様の眠る地を経由すること叶わず病院へ運ばれてしまった。タクシーの運転手は、私に抜け道知ってます自慢をしたかったみたい。こんなスタートでいいんだろうか・・手術なんですよ、明日。



麻酔科外来→婦人科外来→入院申し込み→入院病棟の順で進んだ入院当日。説明を一言一句逃す事の無いようにICレコーダーを持参した。ふふふ、孤独で挑む手術ですからね。録音させていただきますよ。



でも麻酔科の先生も婦人科の先生も、手術前日の患者に対する重厚感あふれるホスピタリティが感じられない。定期健診並みのいつもの空気感。そしてその「いつもの空気感」に飲み込まれちゃった私は、「会話録音してもいいですか?」という一言を言い忘れてしまう。



なので何の録音もできてません。



入院当日の付き添いがいるってことは、きっと術前の説明で「聞いた・聞いてない」「言った・言ってない」をなくすための事だと思って付き添い代替のICレコーダーを準備したのに・・・。新しい電池に入れ替えて準備し、どんな長時間の会話であっても一言一句もれなく録音しようとした私の思いを自分で無駄にした。



付き添い人がいないからこんな感じなのかなぁ・・TVドラマならこのシーン、結構重々しくやるところじゃないのかなぁ・・。手術前ってどのテレビ局でも別室で話すシーンだよねー、そこらへんにうじゃうじゃ看護師さんとか医療事務員さんとかいないよねー・・などと思いつつ話を聞く。ひとの話を真剣に聞く気のない体質なので「ブログに書く」という使命がなければ、私は絶対に何を話されたか忘れていただろう。ブログに書き残したい一心で耳を傾けた。




その①:麻酔科

全身麻酔とは何ぞや的な解説とメリットデメリットのお知らせ。「安全ですよ!でも後遺症や副作用がゼロってわけではないですし、最悪死にます。へへへ♪こんな事言われたらビビりますよねー。でも大丈夫です!私たちがしっかりサポートします!」と、上げて落としてまた上げる・・といった語り口調で説明され励まされました。だから私も「ですよねー♪死ぬとか言われたらもうなんも言えないですよねー♪」と調子を合わせて終わらせたのですが、こんなにフレンドリーでカジュアルなの?全身麻酔の説明は。


大丈夫です!

安心です!

任せてください!

頑張ります!

でも医療に100%はないんで!

最悪死にます!


と書かれた(書かれてません)同意書に「はい!じゃあココとココにサインしてもらっていいですか?」と、これまたまたカジュアルな感じでサインを催促されたのでサラサラと名前と日付を書いてみる。もうこれで最悪な何かが起こったとしても誰にも文句は言えません。嗚呼、やはりICレコーダーを途中からでも出動させるべきだった。何が起こるかわかった上で手術しますと誓ったけれど、「最悪死にます♪」と楽しそうに説明してくれた声をデータとして残したかった。次の婦人科ではちゃんと取り出そう。せっかく持ってきたICレコーダーで、なんとしてでも今日という日を録音しなければ・・・と誓って次の婦人科に向かったけど、結果やっぱり「いつもの空気感」の渦に飲まれて、婦人科でも私の最悪な何かのための録音は出来なかった。



その②:婦人科

ぎっくり腰で付き添いができなくなった姉が、かのウイルスに感染した家族の濃厚接触者になって付き添いができなくなった事になってしまっていた。ぎっくり腰をどう伝達間違いしたら濃厚接触者になるんだろう・・。違いますんで!とキッパリ言いたかったけど、ゲリラ入院&手術が認めてもらえるのならそれで構いません。本当の理由のぎっくり腰より説得力がある。


婦人科では現在の体調確認と経腟超音波と明日の手術の流れを説明されたのみ。超ドライ。まあ裏を返せば、子宮筋腫とそれに伴う卵巣と子宮摘出術なんてポピュラーな手術だから、病院や先生からするといちいちピリピリするものでもないのかしら。TVドラマの見過ぎですかね、私。でも生まれて初めての全身麻酔手術なんです。なにかしらドラマのように流されてみたかった・・・・。



さあいよいよ病室へ。家族が違う病院へ入院した時は病棟の看護師さんのアテンドがあったけれど、こっちはお迎えなしかー。私は入院の手続きをしてくれた窓口の人から教えられた通り、エレベーターでひとり寂しく入院病棟へ。

      


ナースステーションに挨拶したら、その場にいた看護師さんたち全員から大歓迎をうけた。なんかテーマパークで誕生日当日を迎える客みたい・・とか思っていたら「実母と義母はどちらも“母”だからふたりいてもひとりですよね?」という、とんでもない会話が耳に飛び込んできた。


え??


現在、この病院では面会者は2人までルール(申告して許可された2人のみO.K.)が発令されており、どうもそのルールがお気に召さない・・というか理解できていない・・・というか、従いたくないみたい。一生懸命新型コロナから患者さんや新生児を守ろうと努力している病院の気持ちがなかなか伝わらないようで・・・頭数“ふたり”であって“母”というポジションは関係ないと、対応していた看護師さんが必死で説明していた。



不動の旦那さん枠は奪えないからなー。「一日でも早く初孫の顔を見たい義母」VS「初孫の顔も見たいけど娘の体調も気にかかる実母」の残り一枠争いってとこかなー・・と想像しながら廊下を右へ曲がる。



通された部屋は4人部屋。最初からどの患者のカーテンもしっかりと閉じられており、どのようなお方たちが入院しているのかわからず。よかった。誰ともかかわらずひっそりと時を過ごしたいタイプの私にとっては有難かった。結構余裕ある一区画だー!ゆったりー!とちょっとだけ浮かれたけど、よく見たら部屋には洗面台もトイレもない。さすが老舗病院。昭和の香りがしっかりと残った設計のまま。トイレははるか彼方にみえる。夜中トイレに行きたくなりませんように。



持ってきたものを添え付けの収納棚に入れ、渡されたパジャマに着替えてぽつんとベッドの上に座る。もしかして私、忘れられているんじゃなかろーかと思ってもいいくらいな放置状態が続いた。「お昼ごはん前にもう一度来ますね♡」と言い残して去っていった看護師さんより先に、本日のお昼ごはんが到着してしまうくらいの放置っぷり。




昼ごはん
パン食はこの日限り



パン食はこの日限りだった。あまりお腹も空いてなかったけれど、明日手術だから頑張って食べた。今思えば天国レベルで美味だったこの日のお昼ごはん。



しばらくして採血。この採血の時までアルコール消毒してもビクともしなかった私の皮膚が、明らかにアルコールに反応して消毒された部分が真っ赤になっていた。何が起こった?手術前でナーバスになってるのか?精神的か?と考えているときに、オペ看護師登場。明日の手術に関する不安を取り除こうじゃないかとお越しになりました。



初めての手術なので、色んな事が新鮮。オペ看護師さんは、外来の看護師さんとも病棟の看護師さんともまた違った雰囲気を持っていました。とっても優しそうな眼差しでいっぱい話をしてくれ、そして励ましてくれた。でも麻酔科の先生は「最悪死にます♪」って言ってましたよーと教えてあげたくなったが、そんな無粋な真似はしちゃいけないと口を固く閉じた。



「最悪死にます♪」話は封印して、かわりにアルコールに反応して皮膚が真っ赤になった話をしてあげたら予想以上の反応が返ってきてしまう。(当たり前ですが)その瞬間から「アルコールアレルギー」のレッテルを貼られた私。ベッドサイドにも「この人アルコール禁止!!」と業務連絡の札がかけられた。でも手指消毒のアルコールは是が非でも使いたいのですが・・。



昼食後は、検温したり夕食後から翌日までの流れを説明されたりで、着々と時間を消費することができた。まだ元気なのに、明るいうちからパジャマに着替えてベッドの上で過ごすという軽い背徳感。なんとなく眠たかったけど、ここでお昼寝っぽいことをしてしまえばきっと夜眠れなくなることが明らかなので我慢我慢。



さあ残りの時間何して時間潰そうと考えていたら、本日の担当看護師さんが「剃りましょうかねー♪」と声をかけてきた。剃ってからシャワー浴びてくださいねとの事ですが・・・剃るのは"毛"ですよね・・・下半身の。下半身といってもすね毛ではない、あの”毛”ですよね・・・・。



電気シェーバーで「下半身のあの毛」をジョリジョリやられているにもかかわらず、看護師さんと普通に会話できる50代。年を重ねるとたくましくなる。試練をすんなりと受け入れられないタイミングで神様は無茶ぶりなんかしない。なんの話をしたか、もう記憶から抜け落ちているけど、入院の話でも、手術の話でも、病気の話でもなかったことは確か。人生よくできている。40代の私ならこの状態、ココロがズタズタになっていたはずと思いますが、何のダメージも受けずに剃毛後シャワーに行きました。



ちなみにシャワー時間はひとり当たり15分・・・。部屋ごとに浴室が設置されていない作りの老舗病院。鼻歌を歌いながらシャワーを浴びる事は出来ません。院内売店がセブンイレブンというキーワードだけで病院を選んだ私の浅はかさがココに出た。浴室の鍵を閉めるところからカウントして15分ですよ・・・清潔になれる気がしない。



15分シャワーで消耗した体力と、しばらく身動き取れなくなる自分への前払いご褒美を買いに売店へ。やっぱりセブンイレブンのある病院にして正解だわー♪と、カフェラテとスイーツで楽しいひと時。明日ほんとに手術して子宮と卵巣と筋腫を取り除こうとしているオンナなのかしらと自分を疑う。呑気。そしておやつの威力で入浴時間を一瞬で忘れる。



おやつ



でも今日まではあえて呑気にのほほんとしていよう。明日すべての物を取り除いたならば、そこから変性であると言い渡された筋腫が良性か悪性かの宣告を待たなきゃいけない、ドキドキする時間がやってくる。

そしてまた放置プレイが始まった。



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