全身麻酔の合併症「術後せん妄」に慌てる(今更)

最近ふと思った。以前のブログを手直ししながら、ふと思った。退院直後に書き綴っていたブログは、今よりも格段「手術フィーバー」みたいな熱気がムンムンしていて、何だか冷静ではない。麻酔覚めて気持ち悪くなかったー!わーい!と思った記憶は確実としても、術後せん妄の部分に関しては、本当になかったと言えるのか?



「私ありました?術後せん妄」と看護師さんに確かめずに退院した事に最近気づいて、俄然モヤモヤしています・・。



「最悪死にます♡」の説明を麻酔科の先生から聞いた時、術後せん妄の話ももちろん出た。麻酔の主たる合併症のひとつに「術後せん妄(65歳以上で発生頻度約20%)とあるけど、keme.さんそこまで年じゃないから♪」と、医者も患者もヘラヘラしながらすっ飛ばしたその項目。異常な行動と不可解な言動がみられるといっていた。その異常な行動と不可解な言動は、本人も覚えていないと聞かされた。



自分の記憶では「今何時ですか?」が目覚めの第一声だと思っていたけれど、それはもしかすると勘違いなのかもしれない。毎度のごはん以外は(ほぼ)快適に過ごすことができた私の9日間の入院生活。自分の記憶がないだけで、とんでもない行動や罵詈雑言で病棟を震撼させたかもしれない可能性があるかもしれない。看護師たちは、私に優しいほほえみとナイチンゲールの精神で昼夜を問わず対応していてくれていたけど、ナースステーションでは「あの人の術後せん妄、史上最大級だったよねー 笑」と、事あるごとにネタにされているかもしれない。もしかしたら今この瞬間も・・・。



ふと思い出した術後せん妄の事で、お腹の中がカーッと熱くなる感じと、脳みそがゾワゾワする感じが交錯しながら体中を駆け巡っています・・・。



本当は、全身麻酔の手術なんてやりたくなかった。入院する事はお泊り会みたいな気分で少しワクワクしていたんだけれど。「局所麻酔でもいけなくないですかね?」と提案してみようかと思うくらい嫌だった全身麻酔。冗談に聞こえるかもしれないけど、そこそこの痛みでおさまるんなら、局所麻酔で我慢できる・・・というかする。「局所麻酔でもいけなくないですかね?」と喉元ギリギリまで出ていた言葉。それくらい全身麻酔にはビビり散らかしていた。子宮も卵巣もスパッと取る!とは大きな声で言えたのに。



挿管されたチューブを抜かれる時に「おえぇぇぇぇ」となるとか、目が覚めた後に「おえぇぇぇぇ」となるとか、もしかしたら目が覚めないかもしれないとか。私にとって危険極まりない全身麻酔。入院ギリギリまでグチャグチャと考えていた。でもまあ、今こうやってボツボツとブログが書けてるわけですので、全身麻酔の「安心安全」部分の恩恵をフルに受けて手術を終える事ができたことには心より感謝申し上げます。全身麻酔バンザイです。もちろん本心です。 



手術



全身麻酔による合併症といわれるものは、術後せん妄の他にもあって。のどの痛みや声がれ(発生頻度約30%)だとか、覚醒後の悪心&嘔吐(発生頻度約25%)だとか、歯の損傷(発生頻度0.05%)だとか、肺塞栓症(発生頻度0.04%)だとか。まあ「命果てる一歩手前」の状態にできる麻酔ですから、それなりの何かはあると思いますけれど。歯の損傷は納得がいかない。



術後せん妄はさておき、幸いにも一番ビビっていた「覚醒後の悪心&嘔吐(発生頻度約25%)」に見舞われることはなかった。全身麻酔を毛嫌いしていたのはこのせい。たぶんいちばんメジャーで、そこそこの人達が手術を受ける前からガタガタ震えているであろう覚醒後の悪心&嘔吐。出たとこ勝負だと強がっていたけど、幸いな事に「麻酔から覚めたら気持ち悪すぎて吐いた」「ずっとムカムカしてその日のごはんムリ」などといった事に陥ることはなかったので、すべての力を振り絞ってお腹の痛みに勤しんだ。



術後せん妄はあやふやなままだけど、発生頻度約30%の「のどの痛みや声がれ」はしっかりとでた。イチバンでまくっていた。入院中、ずっと声が枯れておりカサカサした感が取れずにいた喉は、退院して数日の後元に戻った。きっと入院中頻繁にしゃべらない事にも問題があったのでしょう。なんせソーシャルディスタンス中の入院期間でしたので。同室の人と交わることが一切なかったために続いていた「コンバンハ。モリシンイチデス」みたいな声も、退院して飼い犬を叱り飛ばしていたらよく声を出すようになったら、自然と元に戻っていた。



この「のどの痛みや声がれ」については、色んな子宮筋腫センパイ方のブログを読む中で「飴を用意しておくといいかも♡」的記述をよく見かけましたが、私は水分補給で解消させた。ベッドに横になっている時間が長いと、なかなか水分補給をするタイミングが見つからなかったので。(私の場合)のどが「けへっ」となった時に、ちびちびと水分を摂取していた。イガイガしたのどがずっと続いていたお陰で、結構な量を飲んでいる事に気が付いた。術後は腸をしっかり動かす事にもフォーカスしなければならないので、腸の事も考えるならば、飴でイガイガを解消させずに水分でのどを潤すことをお勧めしたい。



ひとつ気になった、麻酔の合併症の中で「歯の損傷」という項目。発生頻度0.05%と発生する確率が非常に少ない合併症にもかかわらず、手術台に乗るまでに「歯、グラグラしてない?グラグラしてたら欠けたり折れたりするかもよ」と、麻酔科の先生からも病棟の看護師さんからも何度も問われた、歯の損傷。人工呼吸器のチューブ挿管の際に、挿管器具が当たって「歯が欠けたり折れたりする事が無きにしもあらず」との事らしい。どうして?それはそちら様の技術力の問題では?麻酔によってなんのジタバタもしない人体の前歯を、結構なボリュームで心配された。その「グラグラしてますか?」の問いに「してません」と答えたけど、こちらからしてみれば「麻酔して動けなくしてる人間の歯を折る?あれ?まさか研修医に任せる気?素人じゃないんだから絶対に折るなよ」と言ってみたかった。



でもお腹の中の運命を握られている身。グラグラしてませんとしか答えようがなかった。でも、もし歯が欠けたり折れたりしたら、果たして責任は病院?私?ごめんなさいって言われるの?言わなきゃいけないの?そして歯の治療費はだれが負担するの?・・・聞きたかったけど聞けずに悶々としながら麻酔で眠らされる。覚醒後、すきっ歯になってなかったので、きっと医局長クラスの先生が担当してくれたのでしょう。



弾性ストッキングをはかされたり、術後フットポンプを装着されたりと、発生阻止のため手厚い対策がなされていた肺塞栓症(エコノミークラス症候群)予防策。フットポンプは手術翌日に外されましたが(自力歩行ができるので)、弾性ストッキングに関しては術後1ヵ月くらい継続してはき続けろとのお達しがあった。しかも24時間フルで。引きおこる可能性は低くても、身体や生命に対してのダメージ大な肺塞栓症(エコノミークラス症候群)は、たとえ確率が覚醒後の悪心&嘔吐より低くても命に直結している。だから万全の策を講じてくれているんだろうなと「しゅこぉぉぉっ・ぷしゅぅぅぅっ」っと足元で鳴り響いてる音を聞きながら術後の辛さと格闘してたけど、よく線が抜けてエラーになった私のフットポンプ。それでも元気で生きてます。



全身麻酔から覚醒した直後は、身体に最適なポジショニングがとれなかったお陰で、ものすごい全身のけだるさと、手術で触られたであろう部分の痛みとの闘いでした。しばらくね、ウンウン唸ってた。ひとの説明をよく聞かない覚えない体質の私は、硬膜外麻酔の存在を少しだけ完璧に忘れていた。



短い時間とはいえ、よくもまあ痛み止めなしで耐えてたなと感心。そして今度もし手術する事があったなら、その時は術後絶対にICレコーダーを仕込んでもらおうと思う。というか、この先手術しないでもいい身体でいられるように頑張れよという話ですね。


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